まつ出版 (MBC21横浜支局)

かるたで見る戸塚

『俳句で綴る泉区郷土かるた』(まつ出版刊)より
作 小島貞雄
絵 安西春代


【猫の踊場伝説】中田町
 昔、戸塚宿に水本屋という醤油屋があり、その家にたくさんあった手拭いが毎晩一本ずつなくなる。不思議に思った主人が手拭に紐をつけ、その先を自分の手に結んで寝た。寝ついた頃手応えがあり、見ると飼猫のトラがくわえて逃げようとする。主人は飛び起きて追ったが、猫がいったい手拭を何に使うのかと不思議に思った。
 数日後、主人が中田に用事があって峠道を通りかかると、たくさんの猫が踊りながら「おい今夜はトラがいないぞ」「本当だ、水本のトラがいない」「あいつ今夜家で熱いおじやを喰わされて舌にやけどをしたと言っていたぜ」「トラがいなくては調子が出ないな」と口々に騒いでいる。主人はびっくりして飛んで帰り家人に訊ねた。やはりおじやを喰わせたという。そこで手拭のなくなる謎がやっと解けた。周辺の町や村から集まって来た猫たちはそれぞれに手拭をかぶり、四方山話に花を咲かせながら毎晩のように踊り続けた。以来このあたりを踊場(おどりば)とよぶようになった。


小島貞雄著『長後街道繪巻』(まつ出版刊)より

俳句で綴る 泉区郷土かるた
【を】踊場伝説(中田町)
【と】彦坂小刑部館跡(岡津町)
【よ】横根の競馬(和泉町)
【や】焼米搗き(境川、柏尾川流域一帯)


 
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