自費出版質問箱

お寄せいただいたご質問にお答えいたします。


★質問・回答集

▼質問1
何社かで見積りしてもらったのですが、金額にかなりのひらきがありました。出版費用の標準はどれくらいなのですか?



◆回答1

●あるようでない標準価格

本の製作費用は、本の大きさ(判型)、ページ数、製本仕様(上製本か並製本)、さらに写真・イラストなどを使用するか、カラー刷りの有無などにより決まります。
現在はコストダウンした軽印刷形式もありますが、ある程度しっかりした書籍を作る場合、特に写植オフセット印刷などの工程で製作する場合は大きな差異はないはずです。
また、大別して出版社と印刷所で比較した場合は、前者の方が高い見積りとなります。出版社で頼む場合は原稿の手直しの工程つまり編集・校正費が費用として含まれているからです(別料金というところもあるようですが)。
目安を挙げるとするならば、出版社系の窓口で、「並製本・160ページ・500部」として、最低120万円くらいは必要となります。1ページあたり7000円から1万円くらいはかかると考えておけばよいでしょう。

●正確に見積りしてもらうためには原稿と使用する写真・イラストなどと共にイメージしている本の見本を持参するとよい

自費出版の窓口では、原稿と写真・イラスト類を持ち込めば、正確な見積りを算出することができます。装幀などもサンプルがあればより正確に見積りができます。出版社のパンフレットには大抵価格表が掲載されています。その内容・条件をよく聞いておくことが大切です。
そして、その窓口が自分の本創りに適しているのかは、そこで製作した本をなるべく多く見せてもらうことが第一です。
さらに、担当者あるいは編集スタッフが親身に本創りのアドバイスをしてくれそうか見極めることが大切です。



▼質問2
印刷所で本を作ったのですが、誤植が多く一応クレームをつけました。
しかし、「校正は著者の責任です。 当方は校正刷りでの赤入れは全て直してあります」と言われました。校正の責任について教えて下さい。

◆回答2

●編集・校正の費用が料金に含まれているのかを確認する

本の製作依頼したときにどんな契約を交わしたかによりますが、通常、印刷所で製作した場合は編集・校正費用が含まれていないことが多いようです。したがって、「著者校正」のみで校正終了したケースではないでしょうか。印刷所側でも「内校」といって組間違いがないか、赤入れが直っているかのチェックをしますが、原稿そのものの誤りまでは正すことはできません。
ご質問のケースでは、編集者や校正者が原稿や校正を扱う過程がありませんので、印刷所側の言うことはもっともということになります。
また、出版社系の窓口で製作した場合は、編集・校正の専門家が関わるケースが多く、その点では信頼がおけます。その場合でも、契約書に「内容・校正の責任は最終的には著者にある」ということが明記されていることが多いようです。  そして、「校正に関しては出版社(者)に委託することができる」という一文が入っているところもあります。これは、「校正」という作業が専門性の高い作業だからです。校正の作業は、原稿と校正刷りとの照合つまり原稿通りに組まれているかのチェック、表記の統一や「てにをは」やロジックがおかしい所はないか、さらに不適切な表現がないかなどをチェックする校閲の作業までがあります。つまり、原稿整理段階でチェックが漏れた部分をカバーするわけです。特に、アマチュアの文章の場合、初校段階でアラが出てくることが多いようです。
少部数の私家本の場合でも、第三者に読んでもらうこと、できれば編集者に目を通してもらうことが大切です。

●「著者校正」では何をするのか?

さて、校正はプロに任せるにしても、著者自身も「著者校正」はしなければなりません。これは著者にしかわからない間違いをチェックすることになります。参考までにいくつかのポイントを挙げておきます。

^固有名詞(人名、地名など)
_数字・数値(年齢、年月日、距離、金額など)
`4W1H(いつ、だれが、どこで、なにを、どうして)
a専門用語・方言(特定の職業や地域のみで使われる言葉・用語)
b引用文(原文と文献名・著者名の確認)

▼質問3
最近、新聞広告などで「協力出版」「共同出版」という形で原稿を募集している出版社がありますが、自費出版とは違うのですが?



◆回答3

●出版方式の説明書と契約書をよく読み、不明な点は何度も聞きましょう

ある公募雑誌には、10数社の広告が掲載されています。共同出版、協力出版、共創出版、共同企画出版、Bタイプ、支援出版、準企画、一部弊社負担出版などさまざまな呼び方があるようですが、基本的には同じような内容です。多くは、「自費出版の場合200万円かかるところを、原稿の内容が良いので共同出版として、出版社が50万円を負担して150万円で全国出版ができます」というふれこみのようです。
 この方式については、相談室では相談者からの情報を元にサンプル調査を進めています。
 基本的には、その契約書や出版方式の説明書をよく確認する必要があります。そこで、次に挙げるチェックポイントを目安にしてください。

1、本の所有権はどうなっているのか?
2、著者負担額と出版社負担額の内訳がはっきりしているか?
3、委託配本されているのか、それとも注文分だけを書店を通じて流す形なのか?
4、取次会社の配本リスト、もしくは配本書店の一覧表などを提示してもらえるのか?
5、売れ行き状況の報告をしてもらえるのか? 
 

●著者が費用負担をするものは自費出版であることを認識することが必要

 共同出版の場合、出版社が負担してくれることと全国書店へ流通するということに魅力を感じる著者の方も多いようですが、その実態がどうであるのかを知り、納得して契約することが必要です。
 各社の制作コストや販売体勢などはまちまちで一概に言うことはできませんが、「共同出版」でひとつ疑問が残るとすれば、それは、本の販売益でその出版社は採算が取れるのか、ということです。
 例えば、「四六版、並製本、200ページ、1,000部、定価1,000円」の本を出版するとして、それを流通ルートに乗せて販売し完売したとします。出版社から取次会社への卸価格は定価の70パーセントとして、売上金額は、700円×1,000部で、70万円となります。流通する本を70万円でつくることは不可能ではありませんが、この金額から流通経費・倉庫管理費や広告・宣伝費などが引かれると考えますと利益が出るどころか、赤字になってしまいます。余程高額な定価を付けて売り切らなければ、とても採算に乗らないことになります。
 つまり、1,000部程度の出版では出版社としては採算がとれないわけです。
「共同出版」の著者負担金額の範囲内で、本の売上にかかわらず利益が出る設定になっているということも考えられます。それならば、最初から流通経費も含んだ料金設定で、売上が出た場合は、売上金を返却する方が明解な形ではないかと思います。どこの部分が著者負担か出版社負担かの明細を出してもらい、納得できるかどうか、よく検討したほうがよいでしょう。
 どんな方式にしても、著者が費用負担するものは自費出版であることを認識しておくほうがよいでしょう。本の編集・製作費用と流通経費費などを含んでいるかどうかということをよく確認する必要があります。
 自分の本創りに合った窓口探しをする際は、地元の書店に聞いてみることもひとつの方法です。出版社関連の付き合いの中で多くの情報をもっているからです。





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